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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。
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15~20年くらい前は犬のアレルギーのうち食物アレルギーが原因となるのは2割くらいと言われていました。そのためアトピー性皮膚炎や他のアレルギー性疾患の治療に低アレルゲン食のような食餌療法はあまり重要視されてきませんでした。
2010年に動物のアレルギー性疾患に対する国際委員会(ICADA)により犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインが制定されましたが、これが2015年に改訂された時、アトピー体質を持っている犬の75%は食物アレルギーをいずれ併発するというデータが発表され、食物アレルギーに対する意識が高まりました。
アレルゲンとなる食べ物を食べてしまった場合、嘔吐、下痢、皮膚の赤み、痒み、脱毛などの症状がみられます。食べてすぐ起こることもあれば、長い間の蓄積で生じてくることもあります。
食物アレルギーにはⅠ型とⅣ型が関わっていますが、症状がすぐに出たり、蕎麦アレルギーのように命に係わるような問題となるのはⅠ型アレルギーです。
Ⅰ型アレルギーを起こす原因となる環境アレルゲン、食物アレルゲンは、犬のアレルギー検査(血液検査)である程度知ることができますが、前述したように検査結果が絶対というわけではありません。そしてⅣ型の原因となる食物アレルゲンを特定する検査はないため、食物アレルギーを疑った場合は一般的に除去食という療法食が使用され、それが治療にもなります。
犬のアトピー性皮膚炎は原因が複雑に絡み合っていますし、アレルギーが疑われる外耳炎や皮膚炎も環境物質や食物など複数のアレルゲンが原因になっていることがほとんどです。でももし今みられている症状が食物アレルギーだけによるものであったら、アレルゲンとなる食べ物を避けることで薬を使わなくても症状が改善するため、除去食の利用は試験的治療としてとても重要です。
アレルゲン=タンパク質ということは前述しました。タンパク質は主に肉・魚類に含まれており、ペットフードの主成分としても重要です。
長年、さまざまなフードメーカーや製薬会社などがアトピー・アレルギー性疾患の治療の一環として食物アレルギーに対する研究を続けてきました。現在、犬アトピー性皮膚炎の治療の第一選択薬のメーカーであるゾエティスジャパン株式会社が、アレルギーになりやすい食べ物のランキングを発表しているので紹介します。
牛:34%
牛乳:17%
鶏:15%
小麦:13%
大豆:6%
羊:6%
トウモロコシ;4%
卵:4%
豚・魚・米:それぞれ2% (n=297)
一昔前は牛、豚、鶏はペットフードの原材料の主流で、これらすべてがアレルギー体質の子には避けられるべきだと考えられていました。そしてラム肉、白身魚、アヒル、鴨などを使ったフードや、タンパク質を加水分解したフードが登場しました。加水分解タンパク質は人間のミルクアレルギーの子のための粉ミルクにも利用されており、タンパク質という大きな分子がペプチドという小さな単位に分解されたものです。
ペプチドをさらに分解すると最小単位はアミノ酸になりますが、アミノ酸はタンパク質とは味も性状も全く別物。スポーツドリンクの粉に例えるとわかりやすいですが、アミノ酸は個々に酸味、苦みなどがあったり、サラサラとしていてペット用のドライフードとしては成り立ちません。
そこで、アレルゲンになりにくいものを「つなぎ」として利用してドライフードにしました。つなぎになったのは米、ジャガイモ、えんどう豆などで、これらにアレルギーがない子なら利用できるという条件つきフードです。
そして現在では、とあるメーカーが米やジャガイモなどを利用しなくてもドライフードとしてペレット状にする技術を開発したので、遅延型の食物アレルギーにも対応できるフードが登場しています。
以上のように、タンパク質が含まれればどんなものでもアレルゲンとなり得るわけですが、だからといって怖がって何も食べないというわけにはいきません。人は自分で食べるものを選べますが、ペットは飼い主さんが与えてくれるものを信じて食べています。食べ物によってアレルギーがでてしまうのは体調によってたまたまということもありますが、そもそもアレルギー反応はその個体のキャパを超えた時に症状として現れると言われています。
バケツとコップ1杯の水を例えに説明されることが多いですが、コップの水をバケツに注いでいくといつかは溢れます。バケツの大きさ(個人の体質や体調、これがキャパ)が大きければ水はなかなか溢れませんし、コップによって注がれる水(アレルゲン)が少なければやはりバケツは満杯になりません。疲れがたまっていたり免疫力が低下している時、花粉やイエダニが多い季節など環境アレルゲンも豊富な時には、食べ物から摂取されるタンパク質の分がキャパオーバーとなり症状が出やすくなると言われています。恐らくご自身のワンちゃんが苦手な食べ物があれば、これまで何らかの症状が出ていると思われます。
もちろんまだ出逢ったことがないだけかもしれませんがそれは避けようがないので、例えば一度でも下痢をしたり痒くなったことがある食べ物は避ける、あるいは季節的にアレルギーが多い季節には変わったものを食べさせない、ストレスを溜めさせないなど、そういった管理を飼い主さんがしてあげてください。与えようと思った食べ物の成分表を確認したり、食べたことがないものについては翌日の様子などをしっかり観察することも大切です。
ちなみに下痢をしている時は腸の粘膜が痛んでおり、そういう時にいつもの食事を与えると、いつもは取り込まれないような大きい分子のものも取り込まれてしまい、アレルギー反応を起こすことがあると言います。しかも一度アレルゲンとして認識されてしまったので、その後もアレルギー反応をするようになり、今まで食べていたフードが苦手になってしまうことがあるそうです。したがって下痢の時には消化の良い低脂質のものや、消化器系や低アレルゲン系の療法食を食べることが推奨されています。
人が下痢の時にあまり食べないようにしてお腹を休ませたり、消化の良いおかゆのようなものを食べたりするのは、腸の回復だけでなくアレルギーの予防としても利にかなっているのです。
さて、アトリエミニヨンのサトコさんから犬用おせちなるものがあるのを教えてもらいました。ネットで色々検索すると本当に豪華なおせちがいっぱいあります。
犬用おせちを与える場合の獣医師からの注意事項をあげておきます。
・ アレルギーの問題から、材料にどんな食べ物が含まれているかをしっかり確認すること。
・ おせちの内容によって賞味期限、消費期限内に食べられるかどうかを考えること。
・ 鶏の骨つき、エビの殻つき、串に刺してあるものなど、危ない部分は取り除いて与えるようにすること。
・ 団子状のものは喉に詰まることもあるので、ワンちゃんの大きさに合わせてちぎって与えたり、目を離さないようにすること。
・ いつものフードと同時に与えるとカロリーオーバーになることもあるので、おせちの栄養バランスがとれているならその日はフードと置き換えるか、消費期限を考慮したうえでおせちを数日に分けて与えるようにすること。他には、飾りとして使われているものを興味本位でイタズラしたり口に入れようとすることもあるので、まずはペットが届かないところでお重をあけて内容を確認するようお勧めします。
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