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「災害時にあると便利なものや想定されること」【獣医師 小林先生のコラム】vol.26

【獣医師 小林先生のコラム】vol.26

 

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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。

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【災害時にあると便利なものや想定されること】

 

【あると便利なもの】

さて、前半では災害のための事前準備として必須と思われるものをいくつかあげましたが、後半はあると便利なものについて考えてみました。人と同じようにペットも生き物ですから、食べる、排泄する、寝る、などの普通の生活ができるだけ継続できるよう、身の回りのものも1週間分くらいを用意しておくようにしましょう。

 

サランラップ&アルミホイル

災害時には紙皿などを利用することが多いですが、紙皿はすぐにヘタってしまいます。特に水を入れるとふやけてしまうので長持ちしません。

したがって前回ご紹介したようにプラスチック製やアルミ製の深皿があると良いのですが、さらにサランラップがあると何かと便利です。

紙皿はもちろん、プラスチック皿を利用するときにあらかじめサランラップを敷くことで食器を洗う機会が減り、水や物資のない時にはとても便利でお皿も何度も利用できます。

缶詰などを与える時にスプーンを利用する際にも、サランラップを巻いてから使用すれば繰り返し使えます。

アルミホイルは何か直火にかけたいものがあった時に食品を包んだり、温めた食べ物や飲み物を包んでおいたり、後述しますが湯たんぽ用のペットボトルを包むことで保温にも役立ちます。

 

手洗い用の水(ペットボトルやタンク&スプレーボトル)

災害時は水が不足することで手洗いやトイレの水洗が利用できないなど、衛生面の管理がとても大変になります。

どんなに可愛いペットでも排泄物や吐物などに触れた場合には、環境汚染防止のためとご自身の健康のために手洗いが推奨されます。

手指の消毒は水がない場合の緊急避難的なもので、本来は手洗いができることが理想的です。ただの水で洗うだけでも消毒液をつけるだけよりずっと効果があります。

飲水料の確保も大変なので、トイレ用や手洗い用などの水まで用意できないこともあり、普段からお風呂に水をためておくなどもよく言われますが、ペットが水の中に落ちる事故の原因になったり、水道代などのことを考えるとなかなかそうもいきません。

もし可能なら、使い終わった2リットルのペットボトルを何本か用意して水道水を入れておくと(飲水用ではない旨を記載しておく)、水が出ないけれどトイレは使えるという場合の水洗用や、手が汚れたときの手洗い用などに利用できます。

アウトドアで利用されるような、20リットルタンクの蛇口つきの容器や、少ない水をこまめに利用するためにスプレーボトルがあるとなお良いでしょう。

 

食器洗い用洗剤(中性洗剤)

手を洗う場合には水だけでも十分ですが、もしハンドソープのような界面活性剤を何か用意したい場合、食器洗い用洗剤があればことが足ります。

念のためボトルの表示を確認していただく必要はありますが、ほとんどの食器洗い用洗剤は手指も野菜も洗える優れものです。もちろん、ワンちゃんの手足などを洗うこともできます。

 

紙タオル(またはチリガミ)&トイレットペーパー

人用のものは用意されていることが多いと思いますが、ペットの分の量を考慮してストックしておきましょう。慣れない場所ではケージ内で排泄してしまって便を踏んでしまったり、ガラス破片などで肉球を切ってしまって思わぬケガをすることもあります。

紙タオルは固いタイプでもしっかりもみほぐせばティッシュペーパーとしても利用でき、縦に割いてコヨリを作れば、肉球などケガをした患部に紙タオルをあて、サージカルテープなどがない場合にはコヨリで結んで固定できます。さらにサランラップを足先に撒いて留めておくと汚染のリスクも減らせます。

トイレットペーパーはいざという時に流せるので、災害時にはティッシュペーパーよりも使い勝手が良いですが、トイレが使えなければ紙タオルでも良いと思います。

 

 

新聞紙

紙タオルがない!という場合にはやはり昔から大活躍してくれる新聞紙が良いでしょう。

最近では新聞を購読しているご家庭も少なくなりましたが、新聞紙は人なら服の中に1枚入れるだけでも保温効果があったり、揉んで柔らかくすればペットの便を取ったりするチリガミにもなります。

また、もし避難所でペットを過ごさせることができた場合でも、知らない周りの人たちに怯えてしまったりする子もいます。そんな時にはケージを新聞紙で覆ってあげると目隠しになって安心させてあげられることもあります。

ケージを覆う場合、冬には保温効果がありますが、真夏など季節によっては内部の温度に注意が必要です。

 

コーム(櫛)

災害時は人もお風呂に入れないので当然ペットもシャンプーなどなかなかできません。被毛が汚れても命に係わることはありませんが、長毛種の子はできるだけ毎日ブラッシングをしていないと皮膚炎などの原因にもなるのでコームを用意できると良いでしょう。

コームはかさばらないのでブラシやスリッガーよりも準備しておきやすいです。ちなみに災害時にはコームの代わりに食器用のフォークも利用できます。使う際には皮膚を傷つけないよう注意が必要です。

 

保温&冷却グッズ

季節によって必要なものも用意できるに越したことはありません。保温にはカイロが良いですが、お湯が用意できればペットボトルに入れてアルミホイルを巻いた上に紙タオルでくるめば湯たんぽになります。

寒さ対策よりも暑さ対策のほうが難しいと思われます。犬や猫は人よりも熱中症になるリスクが高く、特にケージなど普段より狭い場所で過ごさせる場合には注意が必要です。

中学生や高校生のお子さんがいるとハンディタイプの扇風機をお持ちの方もいると思いますが、動物は汗腺がないためただ風をあてても涼しくなく、被毛や体が濡れていたり、温度の低い風をあてる必要があります。

例えば人用に叩いて使用する冷却パックがあれば、扇風機の前にかざすことで涼しい風を当てられます。ただし冷却パックも数や時間に限度がありますから、災害時であれば被毛を水で体を濡らしてから扇風機で風をあてるというのが最善かもしれません。

少ない水で被毛を濡らすためにはスプレーボトルがあると良いでしょう。

 

 

【災害時に想定されること】

最後に、災害時にはどんなことが想定されるでしょうか。

想像に難くないのはやはり避難所に入れないということです。ペットを飼う以上、それは必ず想定しておかないとならないことだと思います。

自宅が利用できる場合は良いですが、倒壊や浸水などによりしばらく住めなくなってしまうこともあります。

車があれば車中泊もできますが、家にも住めない、車もないという場合にはどうしたら良いのでしょうか。

 

まずは避難所に問い合わせることになるとは思いますが、激甚災害の場合にはどうしてもその地域に住む人間が最優先になります。たとえ少し離れたところにペット同行可能の避難所があったとしても、その地域の人が優先になるため、別の地域の住民は受け入れてもらえないかもしれません。

 

災害の種類や規模によっては、近隣のペットホテル施設や動物病院などがペットを受け入れてくれる余力が残っているかもしれません。

まずは地域の施設に相談できると良いですが、通信が使えなかったりすでに満室などの可能性もあります。

地震などのように繰り返し被災する可能性のある災害ではなく、水害などでいったんは落ち着くことが予測されるようなものであれば、例え人が住めなくても自宅の一角で雨風を防げる場所にケージを置いてそこで過ごさせてあげ、毎日お世話に行くことも一つの考えです。

 

自宅、避難所、近隣にどうしてもペットを預かってもらえる場所がない場合、被害を受けていない地域のご親戚、友人、ペットホテルや動物病院などを、都道府県をまたいででも頼ることも必要です。

ペットがいるご家族はペットがいないご家族と事情が異なるため、できれば自宅地域にとどまらずにできることを最大限考えてみてください。

 

また、災害はいつおきるかわかりません。真夏の暑い日、真冬の寒い日、あらゆることを想定してご自身やペットのために備えてあげてください。

そして最も怖いのはペットがパニックになりいなくなってしまうことです。

 

過去の震災発生の際、道でウロウロしていたワンちゃんが保護されて当院にやってきたことがありました。

保護してくれた方がすぐに警察署に連絡したところ、飼い主さんからも問い合わせがあったとのことで無事にお家に戻ることができました。どうやら地震で家の扉がずれて開いて庭にでてしまい、さらに門も打ち破って外に逃げてしまったようでした。

この子は震災後2日で飼い主さんの元に戻れましたが、例え保護されたとしても遠い地域だったりすると問い合わせてもわからず飼い主さんの元に戻れないままになってしまう子もいます。

災害時にはペットのことは後回しにされてしまうかもしれませんが、例えば首輪に名前や電話番号を付けていたりマイクロチップを装着していれば家族の元へ戻れる可能性が高くなります。

 

首輪は途中で外れてしまったり、緩いとワンちゃんごとどこかに引っかかって身動きが取れなくなってしまうリスクもあるため、名札を付ける場合はそれを覚悟する必要もありますが、眼で見てすぐにわかるので早期に連絡がつきやすいです。

マイクロチップは法改正によりペットショップなどの第一種動物取扱業者は装着が義務となり、一般の飼い主さんは努力義務となりました。もともとは犬猫を捨ててしまう人を減らすためのものですが、行方不明になった時にももちろん役にたちます。

ただし以下のような問題を抱えていて今後の課題でもあると思われます。

 

(1) 装着しているかどうか外見ではわからない。

(2) マイクロチップにも寿命がある(初期のタイプで10年、現行のものは20年ほど)。

(3) マイクロチップが破損してしまうこともある(読み取りができない)。

(4) 読み取りリーダーがある施設でないと確認できない。

(5) 災害時にすぐ読み取ってもらえるとは限らない。

(6) 動物病院などで読み取っても飼い主さん照合ができるのは指定登録機関(日本獣医師会、動物愛護センター、保健所、警察署?など)のみ。

 

法改正前からマイクロチップを装着している方は日本獣医師会のAIPOや他の民間団体へ登録していると思われますが、法改正後は環境省への登録が義務付けられており登録もそちらに一本化しつつあります。

以前はAIPOや民間団体からマイクロチップ番号をもとに直接飼い主さん照合ができましたが、法改正および恐らく個人情報保護の観点から、現在は読み取った番号をいったん指定登録機関に伝えてそこから環境省のデータベースで照合してもらう必要があります(飼い主さんへの連絡も指定登録機関から)。

 

激甚災害などの際には、こういった指定登録機関も恐らくシステムダウンや人手不足になると思われるためすぐに照合してくれるとは限りませんが、読み取りさえできれば時間はかかってもいずれは飼い主さんのもとへ帰ってくることができるはずです。

 

保護してもらうことが前提とはいえ、そのうえでペットとの再会を果たすために最低限必要なことは、マイクロチップが読み取れる状態であるということです。

マイクロチップも精密機械なので当たり外れがあるそうで、マイクロチップの寿命が来る前に壊れてしまうケースもゼロではなく、過去には装着後3ヶ月で読み取れなくなってしまったこともありました。

確実にご家族の元へ帰ってきてもらうためにも、災害のために事前にできる対策として、マイクロチップを装着している場合には、読み取り可能な施設で定期的な読み取り確認をしていただければと思います。

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