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【シニア期の変化 シリーズ② 歯 後半】【獣医師 小林先生のコラム】vol.42

【獣医師 小林先生のコラム】vol.42

 

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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。

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https://www.monoca.jp/

さて、9月はシニア期の変化パート1として眼の変化についてご紹介しました。10月は多くの飼い主さんが悩みがちな歯や歯茎の変化と、家庭でできるケアについてのコラムです。

前半では見た目でわかる変化、見た目ではわかりにくい変化についてご紹介し、後半では歯が悪い時のサイン、そして多くの方が悩んでいると思われる口腔ケアと歯石について記載しようと思います。

 

【シニア期の変化 シリーズ② 歯 後半】

◆ 歯が悪いときのサイン

歯が悪い時や口の中に問題があるときには以下のようなサインがあります。

・ 食欲の低下がみられる

・ 固いものを食べるのを嫌がる

・ 食べた後に頬を手でかくような仕草をする

・ 食べるときに顔を傾ける

・ 食べた後に頭をふる

などです。こういった症状がみられたら口の中を確認してみましょう。

 

◆ 口腔ケア

やはり口腔ケアは歯石を増やさないことが一番大切です。それにはどうしても若い頃からのトレーニングと飼い主さんの根気が必要になります。

すでにシニア期になってしまっていて口を触らせてくれない子の場合には、歯ブラシの先に好む味をつけて、まずはブラシを動かさずに口にブラシを入れるだけの練習から始めてみてください。

どうしても歯ブラシが使えない時には、食餌の後に必ず水を飲んでもらったり食べかすを減らすだけでも良いです。

歯ブラシを動かせるようになっても無理せず、歯肉を傷つけないようにしてください。人のように歯と歯の隙間がたくさんあるわけではないので、歯垢が溜まりやすいところだけをかきとりできれば十分です。

 

◆ 歯石処置に対する考え方

歯石の除去には原則として全身麻酔が必要です。歯石を除去する目的はキレイに見せることではなく歯周病の予防(治療)です。

歯周病を予防(治療)するためには歯の裏側の歯石も除去しなくてはなりませんし、歯周ポケットの処置も必要になります。そして歯石除去ののちには、スケーラーなどによる微細な傷を研磨によってツルツルにして、歯石が再びつきづらくするポリッシングという作業も行います。

近年、無麻酔で歯石の除去をする施設もありますが、無麻酔で処置できる部位は限られておりポリッシングも不可能です。見た目はキレイにみえるようになるかもしれませんが、無麻酔の歯石処置は歯周病の治療効果がないだけでなく、動物が動いて歯肉を傷つけたりなど別の問題を生じさせるリスクもあるため獣医歯科学会では推奨していません。

また、無麻酔の場合は数人がかりで押さえつけたり、保定袋のようなものに入れる、四肢をしばるなどの方法をとっている施設もあります。そのような状況で処置をされた犬や猫は恐怖を覚え、トラウマになってしまうとそれ以降まったく口の中を触らせてくれなくなってしまいます。

動物に不安を与えず、安全に確実に歯周病の治療をするためには麻酔下での処置が最善であるということをご理解いただく必要があります。

ひと昔前は歯石がついたら麻酔をかけて除去すると言う考え方で、毎年のように麻酔をかけられていた子もいました。ここ20年くらいは予防医学が重要視され、歯石がつかないようにする(歯磨きなどの指導)ことと、平均寿命を14歳として真ん中の7歳くらいの時に一度麻酔下で処置をして、残りの7年をできるだけ口腔ケアをしながら管理することが推奨されています。

ただ、残念ながらそもそも歯石がたくさん付着している子は、もともと歯磨きができない(させてくれない)ことがほとんどです。麻酔をかけて歯石処置をしても、そのあと歯磨きしなければまたすぐに歯石がついてしまいます。

歯の治療は人と同じように1回やったら終わりではありません。歯石の問題は若い頃からの歯磨きトレーニングでしか解決できないという現実も知っておいてほしいです。

 

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