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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。
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さて、9月はシニア期の変化パート1として眼の変化についてご紹介しました。10月は多くの飼い主さんが悩みがちな歯や歯茎の変化と、家庭でできるケアについてのコラムです。
前半では見た目でわかる変化、見た目ではわかりにくい変化についてご紹介し、後半では歯が悪い時のサイン、そして多くの方が悩んでいると思われる口腔ケアと歯石について記載しようと思います。
小型犬や猫の多くはシニア期になると歯が抜けてしまう子がいます。特に小型犬の前歯は抜けてしまいやすい部位です。また、遺伝的にもともと全部の歯が生えそろっていない子もまれにいます。
犬猫では人のような虫歯は知られていないかわりに、歯槽膿漏のような歯周病が多く、歯が根元から抜けてしまいやすいのです。
歯が抜けたこと、歯がないこと自体は特に問題ありません。
歯がないよりも、揺れたままなかなか抜けずに残っている方がやっかいです。特に根が深い犬歯や、根が3本ある奥歯は歯周病になっても抜けづらく、グラグラして痛みを伴ったり細菌感染を起こして歯茎が腫れたりする原因になります。
歯が揺れて痛くてご飯を食べられないとなると、心臓や内臓が健康でも衰弱してしまうため問題となっている歯を抜く必要があります。ですが基本的に動物の口腔処置を安全に行うためには全身麻酔が必要になるため、たった1本でも麻酔をかけなくてはならなくなります。
もしも既に持病があって麻酔をかけられない場合、歯周病の問題をお薬で緩和することはできますが、揺れそのものはどうしようもありません。
明らかに食餌が取れずに衰弱していくことが考えられるなら、流動食などで給餌をするか、リスクを負ってでも麻酔を検討しなければならなくなるかもしれません。
シニアの多くの犬猫で問題となるのは歯石の付着です。猫は歯が小さいため歯石は主に上顎の奥歯に付着します。犬は前歯や犬歯、上下の奥歯にも付着し、表だけでなく裏にも付着します。重度の場合には歯石で覆われて全く歯が見えない子もいます。
歯石は歯周病菌の温床となり、歯肉の炎症や歯の動揺などの原因になります。また、歯周病菌が血流にのって心臓弁膜症を引き起こすことが知られています。
猫は口内炎ウイルスキャリアーであることが多く、子猫の頃から歯肉が赤い子もいます。ここへ歯石が付着して歯周病菌が二次感染を起こすことで口内炎を悪化させ、食欲の低下などの原因となります。
食べた物のカスが歯垢となり、歯垢は3日たつと歯石になると言われています。歯石になってしまうと歯磨きで除去することは難しいため、歯周病予防のためにも人と同じように食べた後もしくは最低でも1日1回は歯磨きをして歯垢のうちに除去することが望ましいです。
見てわからない歯の病気の代表的な疾患に、根尖膿瘍(歯根膜膿瘍)があります。これは歯の根元に感染が生じたもので、外から見てキレイな歯でも罹患していることがあります。
進行すると眼の下の頬の付近に穴があいて膿が出てきたり、鼻から膿性鼻汁が出てくることがあるため、それで異常に気が付くことがあります。
根治には問題となる歯を麻酔下で抜く必要がありますが、一見なんでもないような歯が問題となっていることもあり、正確な診断にはCT検査が必要といわれています。この検査にも麻酔が必要です。
高齢や持病などで麻酔がかけられず抜歯処置を受けられない場合は抗生物質などの内服薬を使います。ただし問題歯は残したままなので、一時的に膿がひいてもしばらくすると再発することも多いです。
猫でみられる歯が溶けていく病気で、破歯細胞という歯を溶かす細胞が活発化した状態で起こります。シニア期になるほど多くみられ、歯が溶けるため痛みを伴います。
最初は歯肉が赤いだけのことがあり見ただけではわかりません。見えない部位が最初に溶け始め、進行すると歯と歯茎の境目あたり(目で見える部位)が溶けてきます。
見える部位が溶けていれば診断可能ですが、他の歯に問題が起きていないかどうかを正確に診断するためにはCTやレントゲン検査が必要になります。原則として問題歯の抜歯が必要になりますが、複数の歯が罹患していることも少なくありません。
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