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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。
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9月から続くパーツ別シニアの変化、9月は眼、10月は歯の変化についてお話させていただきました。11月は皮膚や被毛の変化についてお話します。
前半ではシニアになるとよくみられる皮膚や被毛の変化とその原因、後半はお家でできるシニアの子向けの皮膚や被毛のケアについてご紹介します。
シニア期になると若い頃とは毛の色が違ってくることがあります。黒い毛に混じって白い毛が目立つようになってきたり、トイ・プードルなどでアプリコットと呼ばれる赤茶色の被毛が、だんだん薄い茶色になってクリームのようになる子も。
これらはホルモン異常などがなければ人間の白髪のようなものです。もともと色の薄い子では気になりませんが、黒や濃茶、赤茶など色の濃い子では「年をとったなぁ…」と少し寂しく感じるかもしれませんね。
いっぽうで、父犬、母犬、さらにさかのぼってそれぞれの祖父母犬の色が成長とともに発現してくる子もいます。単一の色だった子に違う色の被毛が混ざってきた場合、親やそれより上の世代の血縁犬の色がでてきたのかもしれません。
シニアになると耳介や背中、腰の付近、尻尾など部分的に被毛が薄くなっていたり、逆に耳の毛だけ残っていて体幹の毛がほとんど抜けてしまったりすることがあります。
アトピーやアレルギーなどの痒みに伴うものでなければ、多くは内分泌疾患による脱毛です。
シニア犬では副腎皮質というところから分泌されるホルモンが過剰になったり、甲状腺ホルモンが不足してくる病気が知られています。これらのホルモンは全身のさまざまなところではたらきますが、新陳代謝や皮膚のバリア機能、毛の生え変わりなどにもかかわっているため、ホルモンに異常がでると毛が薄くなってしまいます。
ホルモン性の脱毛は、それ単独では痒みはないことと左右対称にみられるという点が特徴的です。皮膚や被毛の症状で気が付くことが多いですが、全身に作用するホルモンなので、内臓や血液の流れなどに悪影響をおよぼしていることもあります。シニア期になったら健康診断などでの血液検査の際に、ホルモン測定をしてみることをお勧めします。
耳介の毛がなくなってツルツルになったり、耳介の先端にカサブタができてしまう子もいます。これは寒冷凝集素症や血管炎など血行障害が起こる自己免疫性疾患によるものです。
耳介先端のカサブタは血行障害で皮膚が壊死してしまった結果です。
寒冷凝集素症はダックスフントやイタリアングレーハウンドに多いとされていますが、血管炎はどの犬種でも起こり得ます。アレルギー体質の子やワクチン接種のあとの副反応として耳介先端に血管炎が起こることもあります。
若い犬でもみられますが、心臓疾患や内分泌疾患などを抱えるシニア犬では血液のめぐりが悪く若い子よりも血管炎を起こしやすい素因があります。
お散歩時にフードをかぶせて耳を保護したり、マッサージをして血行をよくするなどの対策のほか、出血や壊死がひどい場合は自己免疫性疾患なのでステロイド薬が使われることもあります。
ポメラニアンではアロペシアエックス(脱毛エックス)という、頭や手足の毛を残して体幹の毛が抜けてしまう病気が知られています。トイプードルやシベリアンハスキーにもみられることがあり、シニア期ではなく比較的若い頃(3~5歳)で発症することが多いです。
毛根がなんらかの理由で活動をお休みしてしまって抜け落ちてしまい、新しい毛も生えてこなくなります。残っている毛はツヤやなめらかさがなく、皮膚もカサカサして黒ずんできます。
副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンの異常による脱毛症状が似ており、さらに特定の犬種にみられるので、恐らくなんらかのホルモンが関わる遺伝病であろうと考えられていますが未だに原因不明です。
病気とはいえ毛が薄くなること以外に特に異常がなく(見つからない)、健康上の問題もないため治療は必要ないとされていますが、見た目の問題と、毛が薄くなり地肌が荒れやすくなるなどの問題で悩む方もいます。
シニア犬では、例えば皮膚炎の治療で毛を刈ったりトリミングでバリカンを使用したサマーカットで短くしたあと、新しい毛がなかなか生えてこない、生えても伸びてこないなどのトラブルが生じることがあります。特に柴犬やポメラニアン、ハスキーなど毛の密な犬種で、背骨に沿った部位で顕著です。
前述した副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンの異常に気が付かないまま毛を刈ってしまった結果、このようなことになるケースが多いです。
シニア犬では健康診断などでホルモンに異常が生じていた場合、不必要に毛を刈ると生えてこないかも…ということも知っておいてください。
若い頃には白や薄ピンクなどの綺麗だった肌が、シニア期になると黒いシミのようなものができてきたり、全体的に黒ずんでくることがあります。
シニアになると免疫力が低下して、皮膚バリア機能が低下するため膿皮症などの感染症にかかりやすくなりますが、湿疹が治る過程で皮膚に色素沈着が起きます。その後、皮膚のターンオーバーにより色素は吸収されて元の色に戻りますが、シニアの子たちは新陳代謝も低下しているため、そのままシミのように残ることがあります。
全体的に黒ずむ場合に、犬ではやはり副腎皮質や甲状腺ホルモンの異常があるかもしれません。これらはシニア犬の代表的な内分泌疾患です。
皮膚にみられる異常のうち、皮膚がもりあがっているもの(丘疹、結節、腫瘤)、もりあがりの中に液体がたまっているもの(水疱、膿疱)などがあります。
いわゆるイボと呼ばれるものは結節または腫瘤を指していることが多く、シニア犬の体表にみられるイボは良性のことが多いです。
しかしながら本来、イボは切除して病理組織検査をするか、針で刺して細胞診というものを行わないと正体を明らかにすることはできません。見た目だけでも「まぁ大丈夫」とわかる良性のイボがありますが絶対とは言えません。
また、体表に生じたイボが全て同じ種類とも限りません。
飼い主さんが気になるのは「悪いものではないかどうか」だと思いますが、ここでいう「悪いもの」とは悪性腫瘍を指していると思われます。
結節や腫瘤と呼ぶ段階では、そもそもそのデキモノ(隆起)が腫瘍なのかどうかさえわかっていない状態なので、良性か悪性か以前の問題です。
腫瘍は小さくきれいな円形でも悪性のこともあれば、どんどん大きくなっても良性のものもあります。
基本的にシニアの子の場合にはその問題が生活を脅かすようなものかどうかをメインに治療を検討することが望ましいとされています。
悪性だった場合には寿命や全身状態などによって獣医師とよく相談したうえで治療を検討することになると思いますが、例えば良性でも普段の生活に大きな支障が出ている場合、生活の質を下げてしまって寿命までの期間大変な思いをするよりは切除してあげたほうが良いこともあります。
皮膚に生じたデキモノの場合、例えば歩きにくい場所や食べづらい場所の腫瘤が大きくなった、ジュクジュクして化膿を繰り返している、舐められる場所にあってしょっちゅう炎症を起こすため毎日エリザベスカラーをしている…などとなったら切除の検討が必要になってくるでしょう。
シニア犬では例え悪性でも皮膚腫瘤の場合には小さいうちなら全身麻酔の必要がない簡易的な切除ができることもあるので、気になるイボができた場合には早めに獣医師と相談しましょう。
獣医師に良性のイボと判断してもらった場合、ヨクイニンという生薬がオススメです。
人も犬も免疫力の低下などからパピローマウイルスによる良性のイボができることが多く、
イボが気になりだしたらヨクイニン飲むことで、イボやシミの予防になります。たくさんできてしまったイボが消えるわけではないため(小さくなることはあると言われています)、初期の頃から飲み続けることが大切です。
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