【完売御礼】8月お届け分は7/1~受付開始
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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。
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桜やさまざまなお花が咲く季節になると、ペットと一緒にお花見に行く方も増えると思います。
出店があるお花見会場だけでなく、ご家族でブルーシートを敷いてお惣菜も持ち寄り、ピクニック的な楽しみ方をする方もいらっしゃるでしょう。
どんなに開放的な気持ちになっても、ペットから目を離さないよう注意してください。お花見中のトラブルで多いのは焼き鳥串やお団子、お惣菜容器などの誤食です。
串をまるごと飲み込んでしまうと麻酔をかけて取り出すしかないような状況になることも多く、串が胃腸を穿孔した場合、最悪のケースでは命を落としてしまうかもしれません。
細かく咬み砕いていても胃腸の粘膜を傷つけて出血のリスクとなります。また、お団子は人間の子供やお年寄りのように、ワンちゃんの体格によっては窒息の原因になることも。
お惣菜容器は食べ終わった後きちんとゴミ袋に入れていても、美味しいそうな臭いを嗅ぎつけてビニル袋から取り出してくる子もいます。プラ容器や発泡スチロールなども消化管の穿孔、閉塞などの原因となり得ます。
楽しいお花見が一転して大変なことになってしまうので、どんなに気が緩んでもペットから絶対に目を離さないようにしてください。
お花見を含むイベント会場では、たくさんの他のワンちゃんたちも来場していることと思います。気の知れた仲間だけではなく、いつもの散歩コースで見かける子でもなく、全く会ったことのない見知らぬワンちゃん、飼い主さんがたくさんいます。
ワンちゃんの中には必ずしもフレンドリーではない子もいて、そういった子はイベント会場などに来ないことも多いですが、普段温厚な子がアクシデントや恐怖から豹変してしまうこともあります。
初めての飼い主さんどうしが対面するとき、もしフレンドリーではないワンちゃんだったら、飼い主さんが「うちの子は他の子が苦手で」と先に牽制してくれることが理想的です。
ですが、それを全く知らせてくれない方もいらっしゃり、我々獣医師も診察の時に急に威嚇モードになって噛まれそうになって初めて「すみません、うちの子他人が苦手で」と言われることがあります(先に言ってよ…と思います 泣)。
飼い主さんと一緒にいる時に強気になる子、飼い主さんがいないと不安から攻撃的になる子などさまざまです。
尻尾を振ってとても機嫌よく近づいてきても、数秒臭いをかいだりした後に急に豹変する子もいるので、どんな子かわからないワンちゃんと近づいたりすれ違う時などは、ご自身のワンちゃんのリードを短く持って、自分を挟み逆側を歩かせるようにするなど、咬傷トラブルには十分注意してください。
見た目がとってもキュートなワンちゃんも、本気で怒ればやはり猛獣です。
急所もきちんと心得ているので、もしも大型犬に頭から一気にガブリ!とやられてしまうと小型犬などはひとたまりもありません。もちろん常に被害者側ではないかもしれないので、十分注意しながらお出かけしてください。
広い芝生の広場やドッグランなどがイベント会場になることもあると思います。
ノミは咬傷によるノミアレルギー性皮膚炎のほかサナダ虫を媒介し、マダニはバベシア原虫という寄生虫やライム病と呼ばれる細菌、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウイルスなどさまざまな病原体を媒介します。これらの中には犬と人と共通のものもあります。
バベシア原虫は犬の赤血球に寄生して、虫が増えるときに赤血球を破壊していくため重度の貧血や黄疸などを起こします。必ずしも発症するわけではなく(不顕性感染)、日本国内のものは比較的病原性は低いですが、発症すると治療が難しいこともあり亡くなるケースもあります。
なんとか治療できても一生体の中に潜んでいるので、ストレスや加齢などで再発することもある厄介な感染症です。バベシア症はこれまでは西日本での発症がメインで、つまり西日本に棲むマダニが汚染されていました。
マダニはもともと単独での移動性は低いため、東日本での認知度はそれほど高くありませんが、さまざまなイベントが開催され全国各地から犬が集まる時代になり、マダニとともにバベシアも東へ移ってきました。
バベシア症は前述したように一生体に居座る原虫なので、西日本では免疫を持っている犬も少なくなく、再感染を起こしても無症状で普通に暮らしているケースも多々あります。
こういった一見健康に見えるワンちゃんが西から東に移動し、もしマダニ予防をしていない場合にはこれらのワンちゃんを介してマダニが病原体を保有することになってしまい、実際既にそういった事象が確認されてきています。
東日本の犬にはバベシア原虫に対する免疫がない犬が多いため、初感染となるととても重い症状になり4~6週間で亡くなることもあります。
また、そもそも東日本では一般的ではないため、似ている別の免疫疾患と誤診されやすく、適切な治療ができずにかえって重篤化してしまうこともあり、我々獣医としても注意が必要な感染症のひとつです。
同様に西日本にはSFTSというウイルスを保有するマダニもおり、これは人で問題となっており発症すると致死率20~30%ともいわれています。
ノミ・マダニ予防薬の本来の目的は、ノミアレルギー性皮膚炎の予防と、病原体媒介の機会を減らすことです。ノミは感染したらすぐに吸血を始めるため、接触毒となるスポットタイプも吸血毒となる経口タイプも比較的短時間で駆除することができます。
いっぽうマダニは感染後2~3日体表をうろつくこともあり、心地よい場所(皮膚の柔らかい部位など)をみつけたら吸血を始めます。吸血する際に血液が固まらないようにする成分や、白血球をおびき寄せる成分などを分泌し、その際に病原体が人や動物の体に入り込みます。
ライム病の細菌は24~48時間、バベシアは48時間ほどで感染が成立すると言われ、現在よく使用されているマダニ予防薬のほとんどが、吸血から18時間以内にダニを落としてくれるため、これらの感染症は確実に予防できると言われています。
いっぽうで、近年知られるようになったSFTSウイルスは、残念ながら完璧な予防は難しいと考えられています。しかしながら感染の確率は減るはずで、やはりしっかりマダニ予防薬を使うべきと言えるでしょう。
もちろん人も感染しますが人はワンちゃんたちに使うような予防薬は存在しないので、登山をする方と同じように長袖を来て防御したり、ウィンドブレーカーなど虫がつきにくい服を着る、ダニよけスプレーなどで対策をする、などの方法しかありません。
マダニはとっても歩くのが早いです。足元についたらあっという間に首筋あたりにたどり着きます。家に帰って服を脱いだら胸や脇の皮膚が薄く柔らかいところにダニが食いついていたということも。できるだけ体に登って来られないように、サラサラ素材の衣類がオススメです。
また、イベント会場から帰宅する時には、まず車に乗る前に服や使用していたタオルなどをはたく、服を着替える、靴を洗うなどをします。
もしノミやマダニをみつけたら、絶対につぶさずセロハンテープなどで捕獲しましょう。ノミもマダニもお腹に大量の卵を抱えていることがあり、つぶしてしまうと卵が環境中に飛び散ってしまいます。
ノミは中性洗剤に弱いことも知られていますが、浮かべようとすると飛んでしまうこともあるので、セロハンテープに張り付けるのがお勧めです。
マダニが皮膚にくっついていた場合、無理に取ろうとすると口先だけが皮膚内に残り炎症を起こすこともあるので、専用の道具を使うか動物病院で取り除いてもらいましょう。
専用の道具は通販サイトなどで打っているので、心配な方は常備しておくと良いでしょう。動物病院で使うのも実は同じ道具です。
いかがでしたか。
お花見シーズンを楽しく過ごすためにも、さまざまなトラブルは回避したいですね。
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