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【春の体調管理 前半】【獣医師 小林先生のコラム】vol.55

【獣医師 小林先生のコラム】vol.55

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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。

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https://www.monoca.jp/

【春の体調管理 前半】

 

持病持ちのシニアに厳しい1月、2月の寒い冬を乗り越えたと思ったら、今度は春爛漫…とはいかない不安定な季節に突入。今回は春の体調管理についてのコラムになります。

日本には四季があり、季節の変わり目ごとに気温や湿度、気圧などが変化します。しかも1日のうちに激しく変化する日もあり、体が追いつくのはなかなか大変です。

人もペットも見えないところで日々ストレスの影響を受けており、体内時計が狂っていたり、免疫機能が低下していることを気がつかずに暮らしている可能性もあります。

そういった状態で環境の変化を受けると、順応能力の低下から持病の悪化や自律神経系のバランスの崩れからくる様々な不調がみられることも。

季節の変わり目の健康への影響を少しでも減らすためには、普段からできる限りの健康管理を心がけることが大切です。

 

◆ 充分な睡眠をとらせよう

ペットにも休息がとても大切です。人と一緒に暮らすペットは、勝手気ままに生活しているように見えても、実は飼い主さんにとても気を遣っていたり、食餌時間は飼い主さんの生活リズムに合わせることになります。

お昼寝は割と自由にできることが多いようですが、普段はお留守番で自由に好きなことができるのに、休みの日は家族がいて寝られない場合は、その子の生活リズムか狂うことになります。

自分のペースで飼い主さんより先に寝るというケースはなかなかなく、寝ていても常に音には敏感で何かあればすぐに起きます。

飼い主さんと一緒に寝るまで頑張っている健気な子も少なくありません。

犬は人と同じ昼行性ですが、猫は本来なら夜行性の動物。でもほとんどの子が我々人間(飼い主)と同じパターンで寝起きしています。

起きている時と寝ている時で、人や動物の体の中では交感神経と副交感神経のバランスが変わり、これは身体にとってとても重要なプロセスです。

交感神経と副交感神経は相反する作用を示しますが、簡単に言えば交感神経は緊張や興奮したときに、副交感神経はリラックスの状態でよく働きます。

寝ている時には副交感神経が優位になり、心拍数がゆっくりになったり、脳や全身の血管は拡張して血圧がさがります。また、体の他の余計な仕事をしなくてすむので、寝ている間に食べ物の消化吸収が活発になります。

交感神経が優位な事は、メリットになることもありますが、常に興奮した状態では心臓がドキドキしたり、脳が覚醒してなかなか休まらなかったり、食べたものがきちんと吸収されず便秘や下痢の原因になったりします。

コロナ禍では普段お仕事で外出していた飼い主さんたちが在宅ワークになりました。そのことでペットに様々な影響が出ましたが、そのうちの1つが睡眠不足です。

徹夜や時差ボケを経験した方はわかると思いますが、たった1日でも生活リズムが乱れると、それを取り戻すのには数日かかります。

人間は疲れたら寝る、眠くなったら寝るという行動はなかなかできませんが、実は留守番に慣れているワンちゃんや猫ちゃんは、普段からそれを実現できていました。

ところが家族がずっと家にいるようになると、嬉しかったり、遊びや食餌を期待したり、あるいは自分の務めとして家族のお世話をしている(つもり)だったりで、ほとんど気が休まりません。

愛情たっぷりに育て、どんなに心を許していても、自分の思い通りのタイムスケジュールでは動けないのが彼らのストレスになっているかもしれない、ということも気にかけてあげてください。

たまには独りにしてあげるなど、ゆっくり寝られる環境を作ることが、脳や胃腸、神経などの健康管理になります。

 

 

◆ バランスのとれた食餌をさせよう

健康な身体を作る基本は食べ物であることは間違いありません。

ペットは自分で食べるものを選べないので、飼い主さんがきちんとペットの栄養管理をしてあげましょう。

栄養素はそれぞれに重要な役割があり、人間と犬と猫では必要な栄養素の種類やバランス、消化吸収のシステムなどが異なります。

特に猫は完全肉食動物なので、草食動物に対する考え方と同じくらい、食べ物について人間や犬とは全く異なる知識が必要です。

人間の健康に対する知識や、栄養学的な知識をもとに同じことをしても犬や猫には当てはまりません。

有名なのはビタミンCですが、人間はこれを外部から摂取しなければなりませんが、健康な犬猫では腸内細菌がビタミンCを作り出しているため食べ物から摂取する必要がありません。

また、犬は雑食性とはいえもともとは肉食動物で、つまり肉寄りの雑食性なので、身体のシステムとしては肉食動物の頃の機能が強く残っています。

人間は唾液の中には炭水化物を消化するアミラーゼが含まれていますが、犬と猫の唾液にはそれが含まれていないため、口の中でよく噛むことででん粉を分解するという行程がありません。

したがって食べ物を噛んですり潰すための形をした臼歯が、犬では痕跡程度、猫にいたっては存在しておらず、大きな食塊を尖った歯で切り裂いて飲み込む、という採餌方法になります。

炭水化物には糖質と食物繊維に分解され、このうち糖質がエネルギーとなります。食物繊維は人や犬猫の腸内では分解できず、主に整腸作用に役立ちます。

反芻類や馬などの草食動物と盲腸の発達したウサギやネズミなどの消化管には、食物繊維を分解できる微生物が棲んでいるため、これらの動物は食物繊維を消化することができます。

例えば犬科の動物も猫科の動物も、自然界では集団または単独行動で狩りをしますが、小〜大型草食動物の内臓、ウサギやネズミなどの小型哺乳類を丸ごと食べます。

人間が絶対に食べることはないこれらの胃や腸の内容物には、食物繊維から分解された糖質や有機酸が含まれており、肉食動物は人間以上に優秀な本能でこれらの栄養素を摂取していることになります。

つまり、穀物や野菜などをそのまま口に入れることは、彼らの本来の栄養摂取の方法ではないということです。

糖質、タンパク質、脂質の割合も、犬には犬の、猫には猫に適したバランスがあり、必須アミノ酸の種類なども異なります。

炭水化物の消化能力1つをとっても、本来の食性に合わせた食餌を用意するのはとても難しいことがわかります。

健康なウサギやネズミ「丸ごと」一匹の栄養をみたす内容の食餌が用意できれば言うことはありませんが、現実的にはとても難しいですね。

たくさんの研究がなされ、犬や猫それぞれのための栄養バランスを考えてた理想的なフードがいつか出来てくれることを祈ります。

特に穀類は犬も猫も多くを必要としないため、ドライフードやクッキータイプのオヤツ、芋類などは与えすぎに注意しましょう。

身体は食べ物から作られてます。飼い主さんを信じてくれている大切なペットのために、それは本当に与えて良いのか?、いったん問うてから自信を持って与えて頂きたいと思います。

 

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