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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。
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腸内細菌は善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割と言われています。
善玉菌のうち乳酸菌、酪酸菌、糖化菌、ビフィズス菌、乳酸桿菌などが有名ですが、他にも種類は色々あり、日和見菌の中には「痩せ菌」と呼ばれるバクテロイデスという菌もいて、これを多く持つ人は太りづらいと言われています。
善玉菌を元気に保つためには一定の悪玉菌が必要であるものの、加齢や病気などの体調不良、睡眠不足やストレスなどにより、日和見菌が悪玉化すると3者の割合がくずれて悪玉優勢になってしまうことが知られています。
悪玉菌が増えると体にとって好ましくない有害物質が増え、DNAが損傷されてガンのリスクが上昇したり、風邪を引きやすくなる、アレルギー症状がひどくなるなど好ましくない状況になります。
個々の腸内の菌の種類や組成は親から受け継いだものなので変わらないのですが、善玉菌の生菌(プロバイオティクス)、善玉菌の餌となる食物繊維など(プレバイオティクス)、近年では善玉菌の死菌や、善玉菌が生成する短鎖脂肪酸(バイオジェニックス)も登場し、これらを外から経口的に摂取することで、現代のストレスや生活習慣などからくる腸内細菌叢の崩れを正し、健康的な腸を保とうというのが善玉菌サプリメントの目的です。
前半でチラッっと触れましたが、個人個人でも腸内細菌の組成は違うのに、ましてや人と犬と猫となると、お腹の菌の種類は全然違いそうだなと気づいていただけたと思います。
善玉菌の中で人で優位な菌はビフィズス菌、犬ではラクトバチルスと呼ばれる乳酸桿菌、猫ではエンテロコッカスという腸球菌です。
あれ?乳酸菌は?と思った方もいるかと思います。
残念ながら肉食動物や雑食動物の腸内には、セルロース(不溶性食物繊維)を分解できる菌はいないのですが、わたしたちの腸内の善玉菌は、わたしたちが消化できなかった食物残渣(主に可溶性食物繊維)を餌として発酵や分解を行い、乳酸や短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)を生成しています。
このうち乳酸を生成する菌群をまとめて「乳酸菌」と呼んでいて、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を生成するので厳密には乳酸菌ではありません。
人も含めた動物の免疫の70~80%は腸にあり!と言われているように、善玉菌が生成する短鎖脂肪酸は身体の健康にとってとても重要な働きをすることがわかってきています。
・ 悪玉菌を抑制(ガンの原因となる腸内有害物質の抑制)
・ 大腸の粘膜上皮細胞の栄養源となる(腸粘膜のバリア機能アップ→免疫アップ、アトピー・アレルギー症状の緩和)
・ 免疫機構の調節(抗炎症作用、アトピー・アレルギー症状などの緩和)
・ 脂肪蓄積抑制(体脂肪減少)
・ 腸の蠕動運動を刺激する(便秘改善
小腸の粘膜組織にはパイエル板と呼ばれる器官があり、ここには免疫細胞が多く集まっていることはわかっていたものの、何のための器官は長いことナゾとなっていました。
それが、研究によりパイエル板は腸内の食物残渣やアレルギーのもととなる抗原、ウイルスや細菌などの侵入を抑制したり記憶・学習するための器官であり、生体の免疫機構にとても重要な役割を果たしている「砦(とりで)」のようなものであるということがわかりました。
腸内細菌が生成する短鎖脂肪酸は腸粘膜を健康に保ち、免疫細胞を活性化させてパイエル板の機能をアップさせることで全身の免疫力を高めることに役立ちます。
どんな動物でも加齢や環境ストレス、食事内容などにより腸内細菌のバランスを崩すことがあります。
一度バランスが崩れてもゆっくり休んだり自身の免疫力がしっかりあれば再び腸内環境は改善しますが、加齢や避けられない日々のストレスなどはどうしようもありません。
そこで、腸内細菌が元気になる手助けをしてくれるのが善玉菌製剤です。
ここでいう善玉菌製剤は、生菌を取り入れるプロバイオティクス、菌の餌となる可溶性食物繊維などを取り入れるプレバイオティクス、そして死菌や菌が生成した短鎖脂肪酸を利用するバイオジェニックスの全てを総括したものです。
プロバイオティクスは腸内細菌叢を改善するのに役立ちますが、胃酸や熱に弱いというデメリットがあります。プレバイオティクスは腸内細菌叢を改善するために、腸内にもともといる善玉菌を育てることで効果を得ようというもので時間がかかります。
いっぽうでバイオジェニックスはどれだけ自分の腸内細菌が弱っていても関係なく、直接腸粘膜や免疫細胞にはたらきかけるため、もっとも手っ取り早く腸活ができるといっても過言ではありませんが、現状では製品も少なく非常に高価です。
いずれも日々コンスタントに摂取することが重要なので、プロ、プレ、バイオジェニックス問わず、サプリメントの剤形なども含めて長く利用しやすいものを選ぶのが良いでしょう。
最近CMで話題の人用ビオスリーの動物バージョンです。ウェットフードや口の中ですぐに溶ける錠剤タイプ。
動物用に特別に開発されたH61乳酸菌のほか、酪酸菌、糖化菌が含まれている生菌製剤です。アレルギー性の皮膚症状があるワンちゃんや、シニア期に便秘がちな猫ちゃん、毛玉で嘔吐する猫ちゃんにもよく利用します。
便秘を改善することで宿便を減らし腸内環境を整えます。
生菌ですが酪酸菌が抗生物質に強いので抗生物質を内服中も併用しやすい製品です。
犬で優勢な乳酸桿菌のラクトバチルスと、猫で優性なエンテロコッカスの両方が含まれ、さらにプレバイオティクスとしてフラクトオリゴ糖、ビタミンCやB群も含んでいます。
含まれている菌株は胃酸や胆汁酸に強いタイプなので効果の減弱なく利用できます。
猫で優位な善玉菌であるエンテロコッカス・フェシウムを含む製剤です。犬用・猫用どちらもありますが、やはり個人的には猫に使用してほしいと思います。
ペースト状で使いやすく、錠剤や粉が苦手な子の選択肢の一つになります。
わたしが知る中で唯一、リーズナブルな価格で利用できる乳酸菌生成エキスを摂取できるバイオジェニックス製品です。バイオジェニックスなので菌の種類も関係なく、熱にも強く抗生物質などにも影響を受けません。
腸内細菌叢を介することなく腸管免疫系にはたらきかけます。
猫(犬にも利用可)、ウサギ、鳥用があります。
人用のビフィズス菌や乳酸機製剤を犬や猫用に代用すること自体は問題ありません。ただし前半のコラムで触れたように、犬や猫の腸内細菌叢でビフィズス菌はあまり優位ではないので、例えば急な下痢などの時に利用しようと言う場合は体に対して多めに使う必要があります。
日々の健康のために使うのであれば、大量摂取は大変なので、やはり動物用を利用するほうが続けやすく効果も得やすいと思われます。
そして人用の製剤を代用する場合、犬猫に有害な成分を含まないことを確認してください。
犬に有害なキシリトール、猫にNGなプロピレングリコールなどは特に注意が必要です。
また、猫は犬よりも摂取するものに制限があるため、犬専用と記載されているサプリメントは猫では代用できないこともあります。逆に猫用のサプリは犬でも代用できることが多いです。
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