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正しい子犬のワクチンプログラム【獣医師 小林先生のコラム】vol.81・82

【獣医師 小林先生のコラム】vol.81・82

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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。

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https://www.monoca.jp/

過去2回の配信では犬の混合ワクチンの種類、メリット・デメリットについてご紹介しました。今回は、正しい子犬のワクチンプログラムについてのお話です。

 

 

◆ 子犬のワクチンは2回? 3回?

 

たまに飼い主さんから、子犬は何回ワクチンを打てばよいのか聞かれたり、1回打ったからあと1回打って終わりですよね?と聞かれることがあります。

 

ですが実際にはケースバイケース、子犬のワクチン接種は回数ではなく月齢で決まる、というのが正しい答えです。

 

 

◆ 母犬からの移行抗体

 

まず、ワクチンをいつからいつまで接種するのかを知るためには、移行抗体について理解する必要があります。

 

母犬が子犬を出産後すると、その日から約3日間だけ初乳と呼ばれる特別な乳汁を分泌します。

 

 

初乳には母犬が過去にかかったことのある感染症に対するたくさんの抗体が存在し、子犬が初乳を飲むことでこれら母犬の抗体をもらうことができます。

 

このようなかたちで受け継ぐ抗体を移行抗体といいます。

 

犬や猫は胎盤からも受け継ぐことができますが初乳からもらうのがメインで、生まれてから48時間以内に初乳を飲まないと移行抗体を獲得することができません。

 

当然、移行抗体にはワクチンでは防げないものもあり、初乳を飲んだ子犬の免疫力はあるいみ最強かもしれません。

 

ただし母犬からもらった抗体は徐々に減っていき、生後4か月くらいで子犬の体内から消えていくことがわかっています。

 

 

 

◆ 初めてのワクチン接種

 

子犬が移行抗体に守られているうちは、外からワクチン接種をしても中和されてしまうため効果を得られません。

 

そして移行抗体は同じタイミングで減っていくわけではなく、早期に消失するもの、最大6か月くらいまで残るものなどさまざまです。

 

 

犬や猫の移行抗体は、早いものでは生後40~60日くらいで消失するため、一般的にはこのタイミングで1回目のワクチンを接種しますが、ブリーダーなど繁殖犬や子犬が密に過ごしている環境にいると早めに接種する傾向があり、室内で単独飼育の場合には遅く接種することも可能です。

 

 

◆ ワクチンプログラム

 

初年度に複数回、あるいは1年後に追加接種することで、免疫を強力にし、長く記憶させる効果を得ることをブースター効果といいます

 

ブースター効果を得るためには1回ワクチンを接種したら3~4週間後に追加接種していく必要があるため、生後2か月で1回目を接種したら次は生後3か月目までに2回目を接種します。

 

そしてワクチンの効果を確実にするためには、すべての移行抗体が消失する、生後4か月過ぎまで接種しなくてはなりません。

 

つまり生後2か月、生後3か月、生後4か月の計3回接種が一般的な子犬のワクチンの回数ということになります。

 

 

◆ 4回接種が必要になってしまうケースも…

 

前述したように密な環境にいる子犬や、帝王切開で初乳の出が悪く粉ミルクを与えざるを得ない、母犬の育児放棄で初乳を飲ませられないといった問題があると、1回目の接種を早めに実施することがあります。

 

 

そこへブースター効果をねらったプログラムで接種をしようとなると、生後4か月を過ぎるまでに4回接種が必要になってしまうケースもあり、移行抗体の消失時期とワクチンとの関係について説明して理解を得る必要があります。

 

◆ ワクチン接種前の注意事項

 

ワクチンは健康な体を感染症から守るために接種するものです。

 

したがって原則として健康体であること、体調に問題ないことが大前提です。

 

もし接種予定日に嘔吐や下痢など、普段とは違う様子がみられたら、できるだけ接種を中止して受診が必要な症状であれば診察に切り替えましょう。

 

特に嘔吐や下痢のような内臓疾患に係わる可能性が高い症状、食欲不振、咳、活動性の低下などがみられる場合は接種すべきではありません。

 

歩行異常、疼痛など筋骨格系に関連する症状についてはかかりつけ医と相談して判断を仰ぎましょう。

 

 

また、どのようなワクチンも接種後に望まない反応(副反応)がでることがあります。

 

もし過去に1度でも副反応がでた場合、かかりつけ医ならカルテに記録があるはずですが、お引越しや転院などで初めて行く動物病院の場合は、必ず過去歴として副反応について申告してください。

 

アナフィラキシーショックのような緊急性が高い副反応は、たいていは早ければ接種後15分くらいで生じます。

 

ですが帰宅して数時間後に異変が起こるようなものも多く、そのような際に動物病院が休診時間だとあわててしまうことでしょう。

 

したがってワクチン接種はできるだけ午前中に接種することが望ましく、まとめると「ワクチン接種は体調の良い午前中に」ということが勧められます。

 

◆ ワクチン接種後の注意事項

 

ワクチン接種後、命にかかわる症状(アナフィラキシーショック)は、動物病院でお会計中など比較的短時間で起こりやすいく、たいていは15分~1時間以内に発生します。

 

我々ヒトのワクチン接種でも、町医者で接種すると接種後になんとなく世間話をされたり、待合室で数分待機するように言われたりしませんか?

 

同じように獣医師も雑談をしたりカルテを書きながら、実はワクチン後の経過観察をしているということがあります。

 

アナフィラキシーショックは突然の呼吸困難、激しい嘔吐や下痢(血便・黒色便など)、喀血、意識喪失、虚脱(力が抜けて立てなくなること)などがみられ、動物病院には抗ショック剤が準備されているものの、緊急治療の時間もなく急速に亡くなってしまうこともあります。

 

数時間以上たってからみられる副反応は、顔面の浮腫(むくみ)、皮膚の痒み、嘔吐や下痢などが良く知られています。これらは発症した時点でまずは動物病院を受診しましょう。

 

さらに翌日以降にも皮膚の痒みや嘔吐・下痢などがみられることがあります。軽くて済むものが多いですが、可能なら受診するか、電話等で連絡してみましょう。

 

翌日以降に出る症状については、ワクチン接種との関連性を証明することは困難です。

 

ですが、普段はめったに吐かないのにワクチン接種翌日に吐いた、毎年必ずワクチン接種後数日で下痢になるなど、なんらかのパターンがみられることもあるので、それらは関連がなくても念のため動物病院に報告していただけるとありがたいです。

 

予防注射の中では最も副反応の報告が少ないのが狂犬病ワクチン、次いで2種、5種、6種などレプトスピラ症の予防を含まないワクチン、そしてレプトスピラ症を含む7種以上のワクチンの順に副反応がでやすいとされています。

 

 

特にダックスフントは7種以上のワクチンで副反応がダントツに出やすい犬種です。第1回のコラムで開設したようにレプトスピラはノンコアワクチンですから、必要がなければ接種は控えたほうが良いでしょう。

 

また、ここ10年ほどは、費用面でも時間的にもコアワクチンの抗体検査を受けやすい環境になっています。

 

抗体陽性なら追加接種の必要がないので、副反応に怯える必要もなく動物に対する負担も軽減できます。

 

なお、まれに何度ワクチンを接種しても抗体が作られない個体、短時間で抗体が消失してしまう個体がいます。

 

短時間で消失するケースでは、そのタイミングで追加接種をすればよいですが、そもそも抗体が作られない個体は、いくら接種しても意味がありません。

 

もし抗体が作られないとなると、常に無防備な状況で生活しなければならず、できるだけ不特定多数のワンちゃんがいる場所を避けたり、お散歩を控えるなどの必要性がでてきてしまいます。

 

可能なら子犬のワクチンプログラムの締めくくりに、生後4か月すぎの最終接種から2週間~1カ月後くらいで抗体検査を受けることが理想的です。

 

成犬でこれまで単にワクチンを接種をしてきただけという方は、一度は抗体検査を受けておくこともお勧めです。

 

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