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誤食トラブル【獣医師 小林先生のコラム】vol.85・86・87・88

【獣医師 小林先生のコラム】vol.85・86・87・88

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ケーキ開発の際に食材や犬猫にとっての栄養等でアドバイスを頂きました、モノカどうぶつ病院 院長 小林先生のご協力のもと、大切なご家族であるワンちゃん、猫ちゃんの健康についてのコラムを定期的にメールマガジンとして配信いたします。ワンちゃん、猫ちゃんの健康管理の一助にしていただければ幸いです。

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【誤食トラブル】

【誤食トラブル 吐かせることができないもの】

 

まだまだ暑い日が続きますね。台風やゲリラ豪雨などもあり、下水が溢れてしまうような時にはレプトスピラ症のような水系の感染症に注意してください。

 

できるだけ汚水に入ったり汚染された土の上を歩かないようにしましょう。

 

さて、今回は誤食トラブルについて解説します。もし愛犬や愛猫が食べ物を喉につまらせたり、オモチャなどの異物を誤食したらどうするか? 

 

【誤食してしまったらどのような処置ができる?】

 

まず、誤食トラブルは大きく分けて2パターンあり、中毒性のあるものを食べてしまった場合と、腸で詰まったり腸壁を傷つける可能性があるものを飲み込んでしまった場合です。

 

これらに対する処置として、中毒物質の中和や解毒、催吐処置(吐かせる)、内視鏡や開腹手術で取り出す処置などがあげられますが、飲み込んどものによって、やってはいけない治療が存在します。

 

今回は、中毒物質以外の誤食について、催吐処置、内視鏡や開腹手術などのNG行為について解説します。

 

【吐かせることができないもの】

 

基本的には人と同じ考え方になりますが、強酸・強アルカリ性物質、石油製品などのほか、間違って飲んでしまったお薬が睡眠や鎮静効果があるようなもの、尖った形をしているもの、長いヒモ状のもの、そのほか吐かせている途中で食道に詰まりそうなものは吐かせることができません。

 

◆ 強酸性・強アルカリ性物質は吐かせるのはNG!

 

強酸性・強アルカリ性物質の代表は、漂白剤やカビ取り剤、乾燥材や園芸用品に使われる生石灰、掃除用洗剤やアルカリ乾電池などです。

 

これらは刺激性が強く飲み込むときにも口腔内や食道粘膜に激しい炎症を起こしますが、吐かせると再び炎症を引き起こしてしまうため吐かせるのはNGです。

 

◆ 石油製品をはかせるのはNG!

 

石油製品には除光液やマニキュア、ベンジンや灯油、液体系の殺虫剤などがあります。

 

これらは吐かせる際に万が一気管に入ると少量でも非常に重い肺炎を起こすため、絶対に吐かせるのはNGです。

 

◆ 睡眠薬や鎮静剤、抗けいれん薬などを吐かせるのはNG!

 

睡眠薬などのお薬は、吐かせようとしている途中で吸収が始まり意識を失うと誤嚥をする可能性があります。

 

◆ 尖ったものを吐かせるのはNG!

 

お菓子の袋などに入っている四角い角がある乾燥剤や、裁縫用のマチ針、木の枝など尖っているものは、吐かせようとすると食道を傷つけたり刺さってしまう可能性があるので吐かせることはできません。

 

実は、異物は胃切開で取り出すことがもっとも安全で回復も早いです。食道の手術は胃よりも難しく治りも遅いため、できるだけ食道を傷つけない方法をとることが望ましいです。

 

◆ 長いヒモ状異物を吐かせるのはNG!

 

長いヒモを飲み込んだとき、一端が歯や喉の奥でひっかかっていたり胃内に毛糸玉のように塊っていることがあります。

 

もう一方のヒモの端も胃内にあればよいですが、既に腸へ送り出されていた場合、腸がどんどんたぐり寄せられて蛇腹のようになり、歯や胃内に引っかかっている一端と腸へ送り出された一端が引っ張り合い、ヒモの両端を持ってピンと張ったような状態になってしまいます。

 

そしてヒモが蛇腹になった腸をスパっと切ってしまい、命を落とす危険すらあります。

 

このように飲み込むだけでも危険なヒモ状異物ですが、口をあけたらヒモの一端が歯や喉の奥に見えたり、内視鏡で胃内に見えても、それを吐かせようとするとヒモが張って腸を切ってしまうリスクがあるため、ヒモ状のものを吐かせるのはNGです。

 

◆ 吐かせる途中で詰まりそうなものはNG!

 

例えばお餅や粘性の強いもの、ペットシーツやキッチンペーパーなど胃内でさらに膨らんでいる可能性があったり、通りの悪そうなものなどは吐かせないほうが良いです。

 

吐きたいのに吐けない場合、血圧上昇やパニックに陥って大暴れしてしまうなど非常に危険な状態になることも考えられます。

 

もしも食道の途中で詰まったら、急遽全身麻酔をかけて鉗子や内視鏡などで取り出すことができる体制が整っていない限り、これらのものを吐かせるのはNGです。

 

【内視鏡が使えないもの】

 

吐かせられなくても内視鏡で取り出せれば、全身麻酔は必要だけれどお腹に大きな傷をつけずに済みます。

 

ですが、すべてが内視鏡で取り出せるわけではありません。

 

◆ ヒモ状異物は内視鏡NG!

 

ヒモ状異物は吐かせることもNGでしたが、内視鏡で取り出すのもNGです。

 

もしも内視鏡検査で胃内にヒモの塊や一端が見えても、それをひっぱって取り出そうとするとヒモがピンと張ってしまい、腸を切ってしまう可能性があります。

 

造影検査でヒモがすべて胃内にあるということが分かっている場合には、内視鏡鉗子で細かく切断したうえで取り出せることもあります。

 

◆ 尖ったもの、角のあるものは内視鏡NG!

 

角があるものやマチ針など尖ったものは吐かせるのもNGですが、内視鏡で取り出すこともNGです。

 

途中で食道を傷つけたり刺さってしまう可能性があるからです。

 

◆ バリウム検査のあと

 

異物を飲み込んだ場合、レントゲンに映りにくいものはバリウム造影検査をすることもありますが、バリウムが胃や腸内に残っていると内視鏡のレンズが再起不能になってしまうため、バリウム造影のあと1週間くらいは内視鏡検査ができません。

 

もしも内視鏡を想定している場合には別の造影剤を使用する必要があります。

 

◆ 十二指腸より奥にあるもの

 

内視鏡のスコープが届くのは、胃からせいぜい十二指腸の入り口あたりまでです。

 

したがってそれ以上奥にあるものは、内視鏡では取り出せず、お腹を切る開腹手術が必要になります。

 

さて、吐かせるのもNG、内視鏡もNGとなった場合には開腹手術となります。次回の配信は開腹手術についての解説です。

 

最後は開腹手術についての解説です。

 

 

【開腹手術による異物の取り出し】

 

吐かせられない、内視鏡も使えない場合には、お腹を大きく切開する開腹手術が適応となります。

 

異物が胃の中にある場合には胃切開、腸に詰まってしまった場合には腸切開という外科手術を行うことになります。

 

◆ 胃切開

 

胃切開はできるだけ血管の走行が少ない胃の壁の一部を切開し、異物を取り出して切った部分を縫合して閉じます。

 

胃は腹部の前のほうにあり、グレートデーンやボルゾイ、スタンダード・プードルなど「胸が深い」とされる犬種はお腹の傷口が大きくなります。

 

胸が深い犬種というと大型犬をイメージするかもしれませんが、ミニチュアダックスやボストンテリア、ミニチュアピンシャー、フレンチブルドッグなども胸が深い犬種の仲間です。

 

胃切開の術後は入院となり1~2日は絶食が必要ですが、その後は流動食などを少量ずつはじめていき、正常な便が出たら退院できます。

 

◆ 腸切開または腸管吻合

 

異物が腸で詰まってしまった場合には、腸壁の一部を切開するだけで済む場合と、異物によって腸の一部に血が通わず壊死している場合には、壊死部分を切除して健康な部位同士をくっつける腸管吻合という手術が必要になることがあります。

 

一般的に腸の手術は胃切開よりも費用がかかるとされています。回復までの時間については大きな差はありません。

 

異物は飲み込ませないことが一番ですが、もしも飲み込んでしまった場合には、できるだけ経過を待たずにすぐ動物病院に相談しましょう。

 

 

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